途上国ライフ

図工と体育と、ときどき英語。元公立中学校教諭、現途上国の小学校の先生。

図工、(ちゃんと)はじめました

図工の授業について書きます。

 

夏休み前は、class 7と8 (日本でいう中学1,2年生くらい)の生徒に対して

週に1度、図工の授業をしていました。

任地に赴任してすぐに時間割について担当の先生と協議したとき、

「あなた暇でしょ?図工もやってね」

と言われ、なんとな~くで始めたものでした。

 

私の学校は、キャンパスが2つあります。

class PP~6(日本でいう年長~6年生)のキャンパスと、

class 7~11(同、中学1年生~高校2年生)のキャンパスの2つ。

今は、この2つのキャンパスを合わせて1つのセントラルスクールとなっていますが、

来年度(2月)からは完全に2つの異なる学校にわかれるらしいです。

政府が決めたことのようです。

日本の学校のように、生徒みんなが自宅から通っているわけではなく、

山ばかりのこの国では、自宅が学校から遠いために、学校がある期間は家を出て

ホステル(寮)で生活している生徒が、全生徒の半分以上います。

学校がわかれたら、このホステルの生徒たちの中には転校しなければならない生徒もいると聞いています。

そう考えると、あまり時間はないなあ。

私の目標のひとつは「この学校のすべての生徒が体育と図工の授業を経験する」ことです。

できれば、特に小さい子たち向けにやりたいと思っていました。

夏休み前に要望書を作って校長先生に出し、現状と課題、これから必要なことについて直談判しました。

「なんとなくで授業、ではなく、PP~11のすべてのクラスに体育と図工を、週に一度時間割に組み入れてほしい」と。

授業のコマ数的にPP~11すべては難しかったので、

今はPP~6、つまり下のキャンパスで体育と図工をしています。

 

その、図工について。

「図工はお絵かき」という概念を「図工は授業」に変えるのが、まあ大変。

「今日は何するの?」と興味をもって聞いてくれるのはいいけれど、

「これから話すよ」と言ってもまったく静かになりません(学年が下になればなるほどこの傾向は強いです)。

クレヨンを配ろうとするだけで興奮して、座って待つことができず、立ち上がって取りにきてしまいます。

紙を配ろうとすると奪い合いになり、ビリっと破れてしまいます。

(ここでは紙一枚だって貴重。破られたら叱る。でも次週にはまた同じことが繰り返されます。)

はさみを渡すとき、平気で友達に刃先を向けてしまいます。

 

などなど。

はさみの渡し方はもちろん繰り返し伝えるし、静かになるまで作業はさせません。

図工を始めたばかりのときは「ああ、ここからなんだな」と感じました。

 

8月からコンスタントにやるようになり、

最近ようやく授業のはじめが落ち着いてきました。「継続は力なり」だなあ。

 

そして、おもしろいのが、

クレヨンで色を塗ったり、はさみで切り絵をしたりしているとき、

「マダム(先生)! これは何色で塗ればいいですか」

「マダム!私できないからここに描いてください」

「マダム!ぼく下手だから代わりにやってください」

。。。。。。

なんということでしょう。

「なんでもいいんだよ。好きな色を選んで、好きなように塗ってみて」

「私がやったらあなたの作品にならないよ。ゆっくりでいいから自分でやってごらん。」

「上手にやろうとしなくていいんだよ。やりたいように線を描いて、切ってみて。」

こんなやりとり、一日に何十回とします。

上手である必要はないのに、誰もクオリティーは求めていないのに、出来映えを気にしている。

何色でもいいのに、何が正しいのか、答えを聞きたがり、それ通りにやろうとする。

そして、だれか一人がうまく何かをやり始めると、みんなそれを見てマネする。

マネ自体は悪いことではないけれど、それってどうなんでしょう・・・?

 

。。。どうしてなんだろう??

図工は算数ではない、答えなんてないのに。

この国では、言語や数学、理科、社会などの主要教科はかなり重視されています。

義務教育ではないため、テストで基準以上にならないと進級できません。

その一方、体育や図工はまったく重視されていません。

生徒だけでなく、先生たちですら体育や図工を遊びだと思っています。

 

そんな教育の背景があるから、みんな常に正解を求めているのかなあ、なんて考えています。

まぁ、考えてもわからないのですが笑

 

図工では「自分を表現することが大事なんだよ」っていつも言っています。

「自分でやってごらん」「自分で決めてごらん」って。

好きなように手を動かして、好きなように作品を作る、

その作品がたくさんの人に見てもらえて、「いいね」「すてきだね」って言ってもらえる。

その経験の積み重ねが、いつかこの国の子どもたちの自己肯定感を高めると信じて、

明日からも図工授業の基礎作り、やっていきます~!

 

 

では、最近の図工作品ラインナップ~!

 

★年長さん 自分の顔

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やっぱり最初はこれでしょ!と思い、顔を描いてみよう!と。

そしたら、大きな紙の真ん中に、めっちゃ小さく描くので、

「アニ、チュンク~、ボン、ボン!!(これ小さい、もっと大きく、大きく!!)」

って何回もこっちの言葉で伝えて、大きく描かせました。

顔が真っ赤だったり真っ青だったりするのもかわいいですよね。

 

 

★2年生 あなたとあなたの好きなもの

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自分の顔を描いて、そのまわりに好きなものをなんでも描いてみました。

一人の女の子が虹を描いたら、まわりの子みんなが真似してた。

 

 

★3年生 ラインアート

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ハートや星、丸、四角、ダイヤなど様々な形をいろんな色で描いていきます。

自分の好きなものを、どんどん、好きな色で並べていきました。

 

 

★3年生 切り絵 つながる子ども

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これ、意外とウケました!

切るのも楽しいし、つながってるのも楽しいみたいです。

切り終わってから広げるときのワクワク顔といったらもう、かわいいなあ。

そして、この紙、実は日本の新聞紙です!

新聞紙、図工にも体育にも使えるから大活躍で、重宝しています。

 

 

★4年生 ラインフラワー

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3年生でやったラインアートの進化版です。

模様でお花を描きます。まず中心を決めて描いて、外へ、外へと広げていくように。

 

 

 

私自身、ここに来てから図工と初めてちゃんと向き合っています。

図工で、子どもの自己肯定感や自主性、表現力、他者理解の心が育ちますように!

 

※授業をするときによく参考にさせていただいているのは

喜楽研さんの「1・2時間でできる まるごと図画工作」という書籍です。

いつもありがとうございます。